メロディにコードをつける方法
内山です。早いものでもう4月も終わり、ゴールデンウィークですね。
今回は、先日SNS(X)で「ニュースレターとしてどんな内容を読んでみたいですか?」というアンケートを行い、そこで最も多く票をいただいた「メロディに対してコードをつける方法」について詳しくまとめてみます。
メロディに対するコードづけを行うために、まず必要となるのがキーの概念です。
このニュースレターでもその点について度々取り上げていましたが、こちらで改めて一度整理しておきます。
「キー」について
一般的に聴かれている音楽のほとんどは「キー」の概念をもとに、特定の音を主体として成り立っています。
そもそも、ピアノの鍵盤を見るとわかるように音の種類は12種類で、それぞれは1オクターブを12等分するように等しく同じ価値を持って並んでいます(以下図)。
これらの音をやみくもに扱うとぐちゃぐちゃな雰囲気が生まれてしまうため、音楽を組み立てるうえでは基本的に12種類の音の中から「主に扱う音」が絞られます。
より具体的には、
-
中心に置く1音(主音=トニック)
-
主音に紐づく(まとまりを感じる)他6音
による計7音の「音のグループ」を選び、それらを主に活用して音楽を組み立てることでまとまった雰囲気が生み出されます。
ここで取り上げている「キーの概念」とは、つまるところ「どの『音のグループ』を使って音楽を組み立てるか」を定義するものだといえます。
以下に、各キーの音(音のグループ)を一覧として示します。
これらの表における「I」の音が上記で述べている「中心に置く1音」に相当するものですが、例えば「キー=Cメジャー」の音楽では、「中心に置く1音」としての「ド」と、それに紐づく「レ」「ミ」「ファ」「ソ」「ラ」「シ」の6音、計7音を主に使って音楽が組み立てられます。
他にも、例えば「キー=Gメジャー」の音楽では、「ソ」の音が中心に置かれ、それに紐づく「ラ」「シ」「ド」「レ」「ミ」「ファ#」、あわせて7音を主に使って音楽が組み立てられます。
キーの音使いは音楽のまとまりを生み出すもとになるため、その音楽を成り立たせるあらゆる要素にそれらの音が活用されます。
例えば、メロディライン、コード進行、コーラス、ベースライン、ギターソロなど、その音楽から聴くことができるあらゆる音は、基本的にはキーの音によって表現されます。
上記で例として挙げていた「キー=Cメジャー」の音楽でいえば、そこでは「ド」「レ」「ミ」「ファ」「ソ」「ラ」「シ」の7音を主に使って音楽が組み立てられるため、基本的にはメロディライン、コード進行、コーラス、ベースライン、ギターソロなど、すべてが「ド」「レ」「ミ」「ファ」「ソ」「ラ」「シ」の7音を主体として組み立てられます。
上記で表として示しているように、根本的にキーには「メジャーキー」「マイナーキー」という2つの大きな分類があり、それぞれに12種類のキー(音のグループ)が存在しています(計24種類)。
繰り返しになりますが、一般的な音楽のほとんどはこの24種類のキーのうちどれかの音使いを主体として成り立っています。
ここで、話を今回のテーマである「メロディに対するコードづけ」に戻すと、メロディにコードを割り当てることに難しさを感じる原因は、「コードの種類が多すぎる」=「コード展開のいろいろなパターンが想定できてしまう」という点にあるといえます。
そんな中で、上記で述べている「キー」の概念を理解することによって、その難しさを大きく軽減することができます。
つまるところ、この「メロディに対するコードづけ」は、「一般的な音楽のほとんどが24種類のキーのうちどれかの音使いを主体として成り立っている」という事実を逆説的に捉えて行う作業だといえます。
なにげなく思いついた単体としてのメロディもほとんどの場合何らかのキーの音使いによって成り立っているため、そのメロディのキーさえ明らかにできれば、それに調和するコード進行もそのキーを足がかりにして導き出すことができます。
例えば、上記の「キー=Cメジャー」でいえば、なにげなく思いついた単体としてのメロディが「Cメジャー」のキーによって成り立つものだと特定できれば、そのキーの音使い「ド」「レ」「ミ」「ファ」「ソ」「ラ」「シ」によって生み出されるコード(ダイアトニックコード※後述)を活用して、そこに割り当てるコードの候補を絞り込むことができます。
「メロディに対するコードづけ」の問題点である「コードの種類が多すぎる」という状態を、キーの音使いを元にして回避できるということです。
その具体的なやり方について、これ以降でさらに詳しく解説していきます。
コードづけ【1】メロディを実音にする
メロディにコードをつけるうえでまず最初にやるべきは、既に述べたように「メロディがどんなキーによって成り立っているか」を明らかにすることです。
思いついたメロディは、鼻歌としてスマートフォンのボイスメモに記録されていたり、あるいはDTMの環境がある場合には直接的にピアノロールの画面などにデータとして打ち込まれているはずです。
鼻歌でメロディを記録している場合には、ギターやピアノなどを使ってそのメロディの音を「ド」とか「レ」のような、実音に直して音名を明らかにすることをやってみて下さい。
また、メロディをピアノロール等の画面にデータで打ち込んでいる場合には、そのデータ(ピアノロールの鍵盤の場所など)をもとに、メロディの実音を明らかにして下さい。
これをやると、なにげなく思いついていた単体としてのメロディが
-
「ドーミソファーミ」
-
「レド#シド#レーミーファ#ーミミ」
のような音名表記の状態として把握できるようになります。
音楽に馴染みがない頃は、この「なにげなく思いついたメロディの実音を明らかにする作業」がそれなりに大変だと感じられるはずです。
それでも、ボイスメモやピアノロールの中にあらかじめきちんと記録されていればメロディは消えてなくならないため、何度もそれを繰り返し聴いたり、DTMならピアノロールの画面をきちんと確認して、必要に応じて音を出したりすることで、ゆっくりやればメロディの実音は明らかにできるはずです。
※また、なにげなく歌った鼻歌では音程が不安定になっていることも多いため、この「実音を明らかにする作業」を通して、メロディの音程をしかるべき音として矯正することもできます。
メロディの実音は、上記例の「ドーミソファーミ」のようにわかりやすい音使いになることもあれば、反面でなんらかの音に「#」「♭」が含まれ、実音表記としてはそれなりにごちゃごちゃしたものになることも多いです。
それらもきちんと捉えることが、メロディに対するコードづけを成功させる第一歩になるといえます。
コードづけ【2】メロディのキーを明らかにする
メロディの実音を明らかにすることができたら、次のステップとしてそれを、これ以前で示していた「キーの音の一覧表」と照合することで、そのメロディがどのキーの音使いによって成り立っているかを予測することができます。
例えば、上記で例として挙げていた
「ドーミソファーミ」
のようなメロディの場合、「ド」「ミ」「ファ」「ソ」の音を含むキーはどれか?という観点で一覧表を確認し、そこから「『Cメジャーキー』ではないか?」と予測を立てることができます。
上記表にて赤丸で示しているように、Cメジャーキーの音に「ド」「ミ」「ファ」「ソ」が含まれているため、このような予測ができます。
またこのとき、同じような観点から「『Fメジャーキー』ではないか?」という予測も立てられます(Fメジャーキーにも「ド」「ミ」「ファ」「ソ」が含まれているため)。※以下表
メロディのキーを予測する時には、このようにいくつかのキーがその候補に入ってくることがよくあります。
このような場合には、そのままいくつかのキーを候補として挙げるようにしてみて下さい。この例でいえば、「メロディのキーは『Cメジャーキー』あるいは『Fメジャーキー』ではないか?」と予測する、ということです。
■キー予測のコツ:「#」「♭」に着目する
メロディの音名からキーを予測する上では、メロディに使われている多くの音をその判断基準にできるとより予測をしやすくなります。
中でも、「#」「♭」がつく音が各キーの特徴音とも呼べるものになるため、「メロディのどんな音に『#』『♭』がつくか」という点を判断の目安にしてみると、より正確にキーを予測できるようになります。
例えば、メロディに使われている音が「ド」ではなく「ド#(レ♭)」になっていたら、その時点で以下の表で「×」をつけているように、キーの音に「ド」を含む大部分のキーが候補から外れることになります。
「ド」を含むキーが予測の候補から外れる
メロディにある複数の音によってこれをやることで、ほとんどの場合キーの予測は1〜3個に絞られていきます。
■キー予測のコツ:イレギュラーな音を含む場合
一方で、思いついたメロディによっては音使いがイレギュラーな状態になっていることもあります。
例えば、メロディのキーは「Cメジャー」でありながら、Cメジャーの音使いである「ドレミファソラシ」にない「ド#」や「ファ#」をメロディに含んでいるケースなどがこれに相当します。
この場合には、例えばここでいう「ド#」や「ファ#」をキー予測の足がかりにしてしまうと混乱してしまうことになるため、まずは「#」「♭」がついていない基本的な音を優先的に確認するようにしてみて下さい。
イレギュラーな音は経過的/装飾的に短く扱われていたり、一時的な転調などによって扱われていることが多いため、キーを判断するうえではそれらを「例外」のような扱いにしながら、メロディとしてより自然な流れを生み出しているそのほかの音を判断基準にすると、キーの予測を柔軟に進めることができます。
■キー予測のコツ:メジャーとマイナーの判断
冒頭で述べた通りキーには「メジャーキー」「マイナーキー」という分類がありますが、実際のところそれらは、特定のメジャーキー/マイナーキーで一つの音使いを共有するような関係になっています。
例えば、「Cメジャーキー」と「Aマイナーキー」は
-
Cメジャー=ドレミファソラシ
-
Aマイナー=ラシドレミファソ
という音使いになっていて、「ド」を中心に置くか/「ラ」を中心に置くかの違いだけで、キーの音使いとしては同じです。
そのため、例えば前述した「ドーミソファーミ」のようなメロディの場合、これを「Cメジャーキー」として捉えることもできる一方で、「Aマイナーキー」とも捉えることができてしまいます。
この点については、つまるところすべてのメジャーキーに必ず一つのマイナーキーが想定できることになるため、すべてのメロディにこの状態が起こり得ます。
以下に、同じ音使いの「メジャーキー」「マイナーキー」対応表を示します。
これらを踏まえ、メロディの音からキーを予測する際には、まずメジャーキーを前提としながらキーを予測して、それと同時に、同じ音使いをするマイナーキーである可能性も頭の片隅に置いておく、というやり方をするのがおすすめです。
※例えば、上記「ドーミソファーミ」のようなメロディで、「『Cメジャーキー』かな?」と予測しながらも、「同じ音使いの『Aマイナーキー』かもしれない」と心に留めておく、ということです。
■キー予測のコツ:どうしても判断に迷う場合
メロディの音からキーを予測することにどうしても迷ってしまう場合には、「長く伸びている音」や「メロディの始まりや終わりで使われている音」など、メロディの中にある存在感のある音を、そのキーの「中心的な音(主音=トニック)」として捉えてみるのがおすすめです。
コードづけ【3】キーのダイアトニックコードを明らかにする
ここまでの手順を通してメロディからキーを予測できたら、いよいよメロディに対してコードをつけていくことができます。
ここで明らかにすべきなのが、「ダイアトニックコード」です。
「ダイアトニックコード」はキーの音をコードに置き換えたもので、より具体的には、キーの音(7音)それぞれを土台として、そこにキーの他の音を重ね合わせて作られた7つのコードからなるコードのグループです。
以下が、各キーのダイアトニックコードを一覧表にしたものです。
「キーの概要」を解説した部分で述べていたように、一般的な音楽ではまとまりを生み出すためにあらゆる要素にキーの音が活用されます。
コード進行では、キーの音をコードに置き換えたこの「ダイアトニックコード」が用いられ、つまりはこれらがメロディに対するコードづけの主体になります。
メロディのキーをもとに、そのキーの「ダイアトニックコード」をコード進行の候補とすることで、メロディに対するコードづけの問題点である「コードの種類が多すぎる」という状態を緩和できる、ということです。
実際にこのダイアトニックコード一覧表を手元に置き、そこからコードを選んでメロディに対するコードづけを行っていくことができます(後述)。
※また、これ以前の手順でいくつかのキーを候補として挙げていた場合には、それぞれのキーのダイアトニックコードを順番に試していくことになります。
コードづけ【4】メロディに対してコードを割り当てる
ここまでの手順を通してキーが予測できて、さらにはそのキーのダイアトニックコードも明らかにできたら、あとはメロディに対して実際にコードを割り当てていくだけです。
この作業が、今回のテーマの本編といえる部分です。
ダイアトニックコードからコードを選び、それをメロディに対して割り当てながらイメージ通りのサウンドを生み出すかどうかを確認することで、メロディに対するコードづけができます。
そのうえで、今回テーマとしているこの「メロディに対するコードづけ」は、「メロディに合うコードの絶対的な正解を探す作業」というより、どちらかといえば「そのメロディに調和するであろうコードの流れをいくつか想定した上で、どれがより最適なサウンドを生み出すかを比較して選ぶような作業」だといえます。
もちろん、メロディを生み出した本人の中に絶対的な「正解の(コード進行の)響き」があればその比較検討の作業がそのまま正解を探す作業になっていきますが、ほとんどの場合はそこまでコード進行に対する絶対的なイメージはできていないはずです。
それゆえに、ダイアトニックコードを活用した、いわゆる「定番のコード進行」のような自然なコードの流れをいくつか用意して、それらを実際にコードに割り当てながらそのサウンドを確認していくのがより現実的で、コード進行のいろいろな可能性を検討できるという意味でより望ましいです。
以下に、それぞれのキーの定番のコード進行(メジャーキー/マイナーキー)を一覧として示します。
ここまでの例でいえば、例えば思いついていたメロディのキーを「Cメジャーキーではないか」と予測できていたら、Cメジャーダイアトニックコードを活用した定番のコード進行として、上記表で
-
C→F→G
-
C→Am→Dm→G
-
F→G→Em→Am
-
Dm→Em→F→G
-
Am→F→G→C
などがリストアップされているため、それらをメロディに対して割り当てながら、メロディとコードの調和の具合を確認していくことができます。
当然のことながら、これら定番のコード進行はあくまで「自然なコードの展開」としてのサンプルでしかないため、状況に応じてこれらの一部を切り取ったり、つなぎ合わせたりして、ダイアトニックコードから柔軟にコードを選んで割り当てていく意識を持てると理想的です。
そして、この作業をいかに柔軟にやれるかが、この「メロディに対するコードづけ」を成功させられるかどうかの分かれ目だといえます。
これをやる上でのポイントを、以下でより詳しく解説します。
■コードづけのポイント:コード進行の「トニック始まり」「サブドミナント始まり」の判断
まず挙げられるのが、コードの機能的な分類についてです。
そもそもダイアトニックコードにあるそれぞれのコードは異なる響きを持っており、それらは音楽理論上、3つの機能によって分類されています。
その分類は、具体的には「トニック(安定)」「ドミナント(不安定)」「サブドミナント(少し不安定)」の3種で、例としてこれを「キー=Cメジャー」の「Cメジャーダイアトニックコード」で示すと、以下のようになります。
このうち、メロディに対するコードづけをする局面では特に「トニック(安定)」「サブドミナント(少し不安定)」を意識するのが重要で、なぜならコード進行はそれら二種のうちどちらかによって始まることが多いからです。
それゆえに、メロディに合うコードを検討するうえでは「このメロディには『トニックから始まるコード進行』『サブドミナントから始まるコード進行』のどちらが合うかな?」という意識を持てると、よりイメージに近いコードを探しやすくなります。
例えば、これ以前で「Cメジャーダイアトニックコード」の定番のコード進行として
-
C→F→G
-
C→Am→Dm→G
-
F→G→Em→Am
-
Dm→Em→F→G
-
Am→F→G→C
などをピックアップしていましたが、これらを「トニック始まり」「サブドミナント始まり」で分類すると以下のようになります。
[トニック始まり]
-
C→F→G
-
C→Am→Dm→G
-
Am→F→G→C
[サブドミナント始まり]
-
F→G→Em→Am
-
Dm→Em→F→G
このうち、特に「サブドミナント始まり」のコード進行は、この例でいえば「キー=Cメジャー」でありながらコードの展開が「C」から始まらず「F」や「Dm」から始まり、かつコードのサウンドも不安定になるため見逃されやすいです。
メロディに対してコードづけを行う場合には、既に述べたように定番のコード進行を活用しつつも、それが「トニック始まり」「サブドミナント始まり」のどちらに相当するものなのかを考えながらやることを心がけてみて下さい。
また、例えば「トニック始まり」のコード進行を割り当ててイメージ通りにならない場合に「キーの予測が間違ってるのかも?」などと考えてしまいがちですが、その場合に「サブドミナント始まり」のコード進行を割りあてることでイメージ通りのサウンドになることも多いです。
そのため、コードづけを行っていてうまくいかない局面では、特に「サブドミナント始まりのコード進行が合うかも?」という意識を持つようにしてみて下さい。
※既に示していた各キーのダイアトニックコード一覧表の最下段に「T」「SD」「D」の機能的分類を併記しています。
■コードづけのポイント:セブンスコードの活用
もう一つのポイントは「セブンスコード」についてです。
ここまでにお伝えしていた通り、予測していたキーのダイアトニックコードからコードを選んでいくやり方でメロディに対するコードづけを進めていくことができますが、実際のところダイアトニックコードにはこれまでにご紹介していたもの(三和音版)に加えて、コードの構成音をさらに増やして、響きをより豊かにしたもう一つのバージョンが存在しています。
それが「セブンス版ダイアトニックコード」です(以下表)。
これらは、ここまでにご紹介していた三和音のダイアトニックコードのバージョンアップ版のようなものです。
そのため、いわゆる「定番のコード進行」として挙げられているものをそのままバージョンアップさせるように、セブンスコードで応用することができます。
つまり、例えば、
-
C→F→G
のような三和音のダイアトニックコードによる展開を、そのままセブンス版ダイアトニックコードによって解釈したうえで、
-
CM7→FM7→G7
のようにできる、ということです。
もちろん、バージョンアップを一部にとどめて、
-
C→FM7→G
のようにすることもできます。
メロディに対するコードづけを行う上で、「コードのサウンドがシンプルすぎる」とか、「なんとなくイメージに近いけど微妙に違う気がする」と感じるような場合には、セブンス版ダイアトニックコードによる応用を検討してみて下さい。
■コードづけのポイント:コード切り替えのタイミング
コードづけをする上で、さらにもう一つのポイントとして挙げられるのがコードを切り替えるタイミングについてです。
例えば「C→Am→Dm→G」のようなコード進行を特定のメロディに割り当てる上では、一つのコードをどの程度の長さにするかによってそこから聴こえる印象が変わってきます。
以下に、図としてその違いを示します。
一般的には、上記図の1のように、メロディに対するコードが一小節(4拍)単位で切り替わっていくような展開をすんなりとイメージできるはずです。
これとは別に、例えばメロディに対して、コードの切り替えを早くしてたくさんのコードを割り当てれば(上記図の2)、その分そこからはにぎやかで多彩な雰囲気が感じられます。
反対に、例えばコードの切り替えが少なくなれば(上記図の3)、そこからはゆったりとして落ち着いた雰囲気が感じられます。
これらは、いわゆる「ハーモニックリズム」と呼ばれるもので、メロディに対してコードづけを行う際には、「どんなコードを割り当てるか」という観点と共に「どんなタイミングでコードを切り替えるか」という観点を持つことも大切です。
メロディに対するコードづけがイメージ通りにならない場合には、ここで例として挙げているようにコード切り替えのタイミングを多くしたり、少なくしたりしながら、ハーモニックリズムによる聴こえ方の違いも考慮してみて下さい。
■コードづけのポイント:複数のキーを予測していた場合とメジャー/マイナー対応
これ以前でやっていた「メロディからキーを予測する段階」で、その予測が難しい場合にはいくつかのキーが候補に入ってくることもあるはずです。
その場合にはここで示している「定番のコード進行」によるコードの割り当てを、その予測できているキーでそれぞれ試すようにしてみて下さい。
それによって、予測が適切ではないキーの場合は、メロディに割り当てたコードが必然的に調和していないと感じることになります。
つまり、いくつか試した中で特にメロディとの調和が取れていると感じるキーがそのメロディのキーとして判別できる、ということです。
また、これ以前でお伝えしていたように、一つのメジャーキーと一つのマイナーキーは同じ音使いになるため(例:CメジャーとAマイナー)、例えばメロディに対するコードづけでイメージ通りのサウンドにならない場合には、予測していたメジャーキーを、セットになっているマイナーキーとして解釈し直して、マイナーキーのダイアトニックコードをもとにした定番のコード進行を割り当てて、響きを確認してみて下さい。
その場合にも、同じく「トニック始まり」「サブドミナント始まり」の観点や、セブンスコードの観点、コード切り替えのタイミングの観点などを意識するようにしてみて下さい。
ここまでの作業を通して、メロディに対してコードを割り当てる作業のほとんどの部分に対応できるはずです。
また、メロディがより長く展開しているような場合には短いコード進行ではそれをカバーしきれないため、ダイアトニックコードを活用しつつより広い範囲のコード進行をその都度探していくような感覚が求められます。
その場合にも、基本的にやることは同じです。
さらには、これ以前でも少し触れていたように、メロディの中にキーから外れる音を含む場合(=思いついているメロディが特徴的なものになっている場合)には、キー判別の難易度が上がり、さらにはその「キーから外れる音」をより効果的に響かせる「ダイアトニックコード以外のコード」の活用も必要になります。
それらは、ここで取り上げている「定番のコード進行」をもとにして、それをひねりのあるものに変形させるようなやり方で盛り込むことでができるため、メロディに対するコードづけを行う中で一部のコードがどうしても見つけられないような場合には、部分的にダイアトニックコード以外のコードを活用することも検討してみて下さい。
※ダイアトニックコード以外のコードについては、解説がさらに複雑になっていくため今回は割愛します。ご要望があれば別途ニュースレターのテーマとして取り上げますので、コメントなど下さい。
まとめ
というわけで、あれこれ書いていたら1万字ほどになってしまいましたが、なんとなく「メロディに対するコードづけ」の概要は把握していただけたでしょうか。
上記でも述べているように、コードづけを行う上でのポイントは、
-
そのメロディのキーをきちんと判別すること
-
ダイアトニックコードから柔軟にコードを選ぶこと
の二点にあります。
特に、「トニック始まり/サブドミナント始まり」の観点、そして「セブンスコード」による対応などを柔軟にこなせるようになると、素早くイメージ通りのコードをつけることができるようになっていきます。
ぜひコードづけをたくさん繰り返して経験を積みながら、徐々に上達していくことを目指してみて欲しいです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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